投稿

1月, 2023の投稿を表示しています

五味五色を幾重にも織り込んでいく日本料理

イメージ
  五味五色を幾重にも織り込んでいく日本料理   八寸(難波葱浸し・椎茸と車海老・海老芋鮑・松葉蟹・堀川牛蒡たれ焼き) 正月元旦は「家々門とさし(閉ざし)年始の寿賀」を述べ、二日は「商人職人初売仕事」、四日は「福あかしとて三ヶ日の残り物をごた煮にして」祝った。七日は「七草粥(ななくさかゆ)」、十日は今宮 戎や堀川戎を参詣し、一五日の小正月は、とんどの火を火縄に移して小豆粥を煮るのが習わしであった(江戸時代の大坂の年中行事を記した「繁花風土記(はんかふどき)」より) 江戸時代の大坂の一年は、一月十日の今宮十日恵比寿からはじまる。今宮社は福を祈って詣でる人々で賑わった。商売繁盛で笹もってこい。境内では米俵・白銀包・御札などの縁起物が売られ、参詣者はそれを買って笹の枝に結びつけて、持ち帰った。芸者衆を乗せて町内を練り歩く「宝恵駕籠(ほえかご)」の行列も、祭礼を華やかに彩った。商売繁盛で笹もってこいのお囃子が、天下の台所大坂の年初めに響いた 一月十五日の小正月は、小豆粥を食べた。生命や炎を象徴する「赤」を体の中にいれることで、一年の邪気が取り除かれると信じられてきた日本人の食の習慣だった                                      祝いの赤:丹波大納言赤飯・赤いか甲南漬・雲丹 日本人は古来より、陰陽道の考え方から、偶数よりも奇数を好んできた。三歳「髪置きの儀」・五歳「袴着の儀」・七歳「帯解の儀」の由来する七五三のお祝いはその流れ。 日本料理の世界でも、奇数が基本。たとえば刺身は三,五,七切れに盛り付けます。本膳料理の膳の数は、七・五・三となる。とりわけ奇数のなかでも「五」が大切な数字だった 「五味(甘味・酸味・塩味(鹹)苦味・辛味)」(中国の五行説)は日本人特有の味覚をあらわし、「五色(青・黄・赤・白・黒)」は盛り付けの基本だった。季節ごとに、これらを統合して、旬の食材を見栄え良く、栄養がとれるよう、バランスを整えていく。このように、日本料理はシンプルに見えるが、手間をかけ、幾重にも味を織り込んでいく                                   腕(唐墨餅・蕪みぞれ仕立て)