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夏越しの祓—この半年の穢れを落とし、これから半年の無病息災を

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  夏越(なご)しの祓(はらえ)が近づいている。1年の半分にあたる 6 月の晦日( 30 日)に疫病退散、無病息災を願う神事です。半年の間に、知らず知らずに身についた罪・穢(けが)れを落とし、残りの半年を心身とも清々しく、無事に過ごせるよう、特に暑い夏に心身が負けぬよう病にならぬようにとの願いを込め、茅の輪をくぐる 日本料理も季節の行事を担う。栫山では、茅の輪のなかに、菱蟹・鮑・岩茸・長芋・黄味酢・松の実を組み合わせ、料理を食べながら、夏越しの祓をしていただいた 日本料理は旬の食材の特性を考え、 それぞれの食材ごとに、生、煮る、焼く、揚げる、蒸すという調理を行うことによって、人の内臓、筋肉、血、水、熱を調(ととの)え、本来、体がもっているリジリエンス(回復)力を高める 日本料理には、茶懐石料理からある献立のひとつに、八寸がある。もともとは一辺八寸(約24 cm )の正方形の杉の盆に、山のものと海のものを一種類ずつ盛りつけた料理スタイルからきたもので、八寸が出されるのを機に、亭主がお客さまにお酒を勧めるという意味が込められていた   現代の八寸は、旬の食材を使った色とりどりの献立、季節を表現する料理となった。今月の栫山の八寸は、鮎・鰻ざく・海老黄味寿し・淡竹飯蒸し・鵜駕を盛り付けさせていただいた 海・川・山・里のものの旬の食材を皿の上に凝縮・統合して、土と水と風など日本の自然を交響楽のように、季節を感じていただけるようにした。そのために、手数、時間をかけた「下拵(したこしら)え」があってこそ、五味五色がいい塩梅となり、かつ華やかな料理となれるよう、日々精進している。 最後の一品は、伊勢海老・玉蜀黍(とうもろこし)・万願寺唐辛子。これからの暑い夏を乗り越えられることを祈って